ホログラムを撮影する際は,暗室内にて撮影光学系を組み立てる必要がある.広い室内でなければ大勢で中に入ることは容易でなく,また光学素子は高価なものばかりで初学者が触れるには敷居が高い.手順を初学者に指導する際にも,教材となる光学系の扱いには現物を持ち出せないなど不便が付きまとう.そこで,本研究では拡張現実感技術(Augmented Reality)を用いて卓上に仮想的な光学系を構築する.カメラで取得した現実世界に,各光学素子に対応したマーカを介して,仮想の光学素子を重畳表示する.ユーザはマーカを実際に手で移動させることで,ディスプレイに映った仮想光学素子の位置を変更し,暗室外で手軽に光学系を構築することが可能となる.本システムを用いることで,光学系の組み立て手順を体感的にシミュレートさせることができ,誰に対しても容易にホログラム撮影の基礎を学習させられることが期待できる.