抄録
管状地中構造の液状化による浮上量予測を, 動的有効応力解析で行った. 解析対象は, 深さ25mの液状化層に埋設され, 土被り9.5m, 直径5mの円筒管体である. 解析の結果, 周辺地盤の過剰間隙水圧比が0.8を超えると浮上が開始し, その後, 加振加速度・変位・過剰間隙水圧の変動に大きく影響されず, 浮上が進行することがわかった. この浮上現象は, 周辺地盤が管体の下部に移動することによって生じ, 管体直下の液状化抵抗が重要であることがわかった.
浮上対策工として周辺地盤の液状化対策工と管体とネイリング工を接合する方法を検討した. 地盤の液状化対策は, 上半より下半に行ったほうが効果的であり, 改良範囲の拡大によって浮上量を低減できることがわかった. ネイリング工も浮上低減に効果的であり, この場合も, 下半に打設したほうが効果的であること, ネイリングの剛性も浮上抑止効果に関与すること, などがわかった.