視線計測装置の小型化,ポータブル化により広範囲を動作する人の視線計測が注目されている.従来の視線計測では,注視点情報はカメラ画像やディスプレイ上の二次元情報として算出されてきたが,大きな頭部運動が生じる場合は,二次元平面上に投影して注視点を記録することは困難である.一般的に頭部装着型の視線計測装置では,頭部運動の考慮するため環境中に設置されたカメラを用いて頭部位置,姿勢の推定を行うが,これでは計測範囲が限定される問題がある.また,注視情報の解析には一般に,注視頻度が多く用いられるため,環境情報との対応も考慮する必要がある.そこで,本研究では頭部装着型の視線計測装置において,環境情報に対応した三次元注視点の推定手法を提案する.環境の自然特徴点を利用してVisual SLAMを行い頭部の位置,姿勢を推定をおこなう.また,自然特徴点と視線情報から三次元注視点を推定し,頭部が大きな運動をおこなう場合においても、注視頻度を算出することを実現した.