レジリエンスは近年着目されている心的機能である.具体的には、人間が精神的ダメージを受けて落ち込んだときに,さまざまな資源を用いながら心的回復を達成するための機能である.しかしながら、レジリエンスの心的プロセスについては、これまで十分な検討がなされてこなかった.本研究ではレジリエンスの概念を4つの側面に分類し,この分類をもとにそれぞれの側面を測定する尺度を作成した.また作成した尺度と潜在連合テスト(Implicit association Test:IAT)とを組み合わせた実験を行い,レジリエンスに潜在的な側面と顕在的な側面とで違いがあるかどうか検討した.実験はIATのほかに,顕在的指標としてSD法および質問紙を用いた.結果として,IATの指標と,SD法による評定には異なる傾向が見られ,潜在的なレジリエンスと顕在的なレジリエンスとでは異なる側面が存在することが示唆された.