抄録
光ファイバ未整備地域や無線通信サービスが困難なエリアに対して,光ファイバと同等かつ容易にブロードバンドサービスを始めとする各種サービスを提供する,いわゆるデジタルデバイドの解消とユビキタス社会の実現に有効な通信手段として,統合型光無線(RoFSO)システムを提案し,研究開発を進めている.RoFSOシステムは,電波形式を保存したまま各種RF信号を光波に閉じこめるRoF技術を,光ファイバと自由空間を透過的に接続する新しい光無線技術(FSO)と融合することで,条件不利地域へ各種無線サービスの提供を容易に実現しようとするものである.本システムの実現には,自由空間で発生する歪みを抑制した高S/Nを維持する光無線伝送技術が要求される.そのため,大気中の光波伝搬を考慮した空間とSMFとの高い結合効率を有する光アンテナ光学系,及び光ビーコンを用いた大気ゆらぎを補償する精追尾システムが必須である.これらの技術を搭載して開発したRoFSOシステムのための光学システムの基本設計,試作機評価,及び通信実験にて検証した結果を報告する.