抄録
100GHz帯で動作する薄膜スロットアンテナを結合した完全薄膜型のGaAsショットキバリアダイオード(SBD)を製作し、ビデオ検波ならびにミクシング特性を中心に検討を行った。94GHz電磁波照射時のビデオ検波における検出電圧は、製作した素子の電流-電圧(I-V)特性から得られた理論的なバイアス電圧の依存性とよく一致し、アンテナで受信した信号を素子のI-V特性の非線形性により検波していることが確認できた。また、最適バイアス点での雑音等価電力密度(NEI)は約5.1×10^<-8>W/cm^2Hz^<1/2>であった。また、検出感度をさらに向上させるためSi延長半球レンズを準光学的に素子に結合した。半径10mmのレンズを結合することにより検出電圧は22.2dB向上し、3.12×10^<-10>W/cm^2Hz^<1/2>のNEIの値を得た。さらに、ミクシング測定において、完全薄膜型のSBDにより94GHzに対して7次までのハーモニックミクシングにおけるIF信号が観測できた。