抄録
近年,鑑賞者に対して広視野な映像を提示する映像投影システムが盛んに研究されている.このようなシステムを一般的な室内に構築する場合,空間的な制約から前面投影による映像提示が多く用いられている.しかし,前面投影方式では鑑賞者自身の影の発生が大きな問題となり,これを回避するために鑑賞可能な領域が大幅に制限されてしまう.そこで本研究では,鑑賞者の影が生じる場合,複数台プロジェクタによって重複投影された領域の輝度を,事前計測した応答関数を用いて一定に維持したまま,影を生じないプロジェクタへとシームレスに切り替える.これにより前面投影方式における鑑賞可能領域を拡張し,鑑賞者が自由に移動可能な環境を実現する.