抄録
調節と輻輳の不一致に起因する視覚疲労を解決する自然な立体表示方式として,超多眼立体表示が提案されている.これまでに超多眼立体表示に対する眼の調節応答の測定実験が行われているが,ほとんどの場合で,観察距離を視点群の形成距離に一致させている.本研究では,われわれが以前に開発した128視点マルチプロジェクション型超多眼立体ディスプレイを用いて,観察距離と視点群形成距離が異なる場合の調節応答を測定した.特に,同ディスプレイは容易に視点群形成距離を変えられるため,異なる視点群形成距離に対しても実験を行った.その結果,観察距離における光線の拡がりで決まる拡大された眼の被写界深度内で,正しい調節応答が得られることが確認された.