抄録
電子レンジで知られるミリ波・マイクロ波加熱は物体内部の直接的加熱を可能にする。この体積加熱とよばれる特徴はマイクロ波加熱の様々なパラダイムを生んできた。本稿に特に関わるものは2つである。(1)マイクロ波吸収は物質により異なるため混合物質中では選択加熱が起こる。(2)同じ温度で加熱した場合でも生成物の特性は,加熱に使用したのがマイクロ波の電界なのかあるいは磁界なのかで異なることがある-熱平衡論に従わない非熱的現象である。これらの現象は従来の加熱すなわち表面を熱し熱伝導で内部を加熱するというものと本質的に異なる。物質全体がマイクロ波を吸収し励起されつつ同時に熱化に至る中で構造を作り出す。ここでは,選択加熱と非熱的効果に焦点を当ててそれらのIn-Situ計測について紹介する。