抄録
近年における犯罪の増加に伴い,監視カメラや映像レコーダ等のセキュリティ用映像装置の需要が高まり,監視員の負担を軽減するためにも,長時間の映像データから不審人物を自動的に検出する手法が求められている.画像中における人間の顔認識技術はほぼ確立されているが,不審人物がサングラスやマスクなどで顔を隠すと,顔の特徴が失われるため,従来の顔検出手法を適用することはできない.そこで我々は,サングラスやマスクを着用している不審人物を検出するために,不審人物用のデータベースを作成し,Haar-like特徴に基づいた機械学習を行うことで,不審人物の識別器を作成した.但し,作成された識別器による検出だけでは誤検出が発生するため,サングラスやマスクの輝度特徴を活かした絞り込みを行うことにより,識別精度を向上した.さらに,複数のデータベースに対して識別器を作成することにより,データベースの違いによる識別能力の比較実験を行ったので,結果について報告する.