箱根の、あるマンション管理組合の一員として、箱根外輪山での山岳回折を受けた東京タワーからのデジタルテレビ電波受信の実現に取り組んで来た.東京タワーからの電波強度が高い地点が、受信状態が良いとは言えず、むしろ、受信電界の低い地点に良好な受信点が存在する現象の解明に苦しんで来た.この原因として、はるか遠方の、新島中継局からのSFN干渉が考えられ、この妨害を排除するには、目的波とのD/U比を50dB以上確保する事が必要のようであり、同一局からのマルチパス伝播による干渉とは、かなり様子が異なる.遅延プロファイルの測定を行い、D/U比45dB未満のSFN波に対して、各放送局の置局状況の違いから送信局を特定し、測定器内で折り返しが起きているかを判断し、その結果、ガード・インターバルを超えると判定された新島局に対して、その方向に障害物(建物)がある地点を受信点とする対策を採用し、等価C/N劣化量を約6dB改善する事に成功した.