ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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低いガラス転移温度をもつ熱硬化性ハイパーブランチポリマーの 合成と評価
上原 聖泉岡田 聖大堀邊 英夫佐藤 絵理子
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2020 年 41 巻 3 号 p. 113-121

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抄録

付加開裂連鎖移動剤である2-(ブロモメチル)アクリル酸メチル存在下,メタクリル酸ドデシルとエチレングリコールジメタクリレートのラジカル共重合により,熱硬化性ハイパーブランチポリマーを合成した。生成物はポリマー鎖1 本中に複数の末端基を含む分岐構造を有していた。コモノマー組成,およびコモノマーと付加開裂連鎖移動剤の量論比により,生成するハイパーブランチポリマーのガラス転移温度を-80 ℃から13 ℃の広い範囲で制御することが可能であった。ハイパーブランチポリマーは,エチレングリコールジメタクリレート由来の側鎖ビニル基(メタクリロイル基)および付加開裂連鎖移動によって生成するω- 末端ビニル基(2- メトキシカルボニル-2- プロペニル基)を複数含むため,100 ℃以上に加熱することにより自発重合し,ラジカル硬化剤不在下でも熱硬化性を示した。180 ℃で1 h 熱硬化することにより,ハイパーブランチポリマーのガラス転移温度は130 ℃以上に向上した。

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© 2020 合成樹脂工業協会
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