抄録
薄膜トランジスタのような半導体デバイスを、フレキシブル電子ペーパーなどへの応用が期待される低耐熱性基板へ応用するため、絶縁膜を低温かつ高速で大面積基板へと形成する技術が必要とされている.その実現のため、SiO_x膜製膜用プラズマ源として、新規対向電極CVD装置(Facing Electrodes CVD(FE-CVD)の開発を行った.これは、次のような特徴を持つ.1)石英ターゲットが対向した電極構造をもち、長さ方向に伸長可能である.(大面積展開可能)2)磁場及び各電極に高周波(13.56MHz)を印加することにより高密度プラズマを生成(膜質向上)3)テトラメチルシラン(TMS)及び酸素を製膜ガスとして導入し製膜速度向上これらにより、低温でSiO_x絶縁膜をすることを試みた.その結果、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜として利用可能な絶縁性を持つSiO_x薄膜を150℃の基板温度でガラス基板上に形成する事に成功した.製膜速度は11nm/min.,絶縁性は電界強度1MV/cmのとき3×10^<-8>A/cm^2、電流密度1×10^<-6>A/cm^2となる電界強度が5MV/cmであった.