近年,質感知覚についての研究が盛んに行われている.しかし,静的な刺激を対象としている研究が主であり,動的な質感に関する研究はほとんどない.そこで本研究では,視覚情報や触覚により生じる動的質感の特性を実験的に調べた。具体的には,1)触力覚により能動的かつリアルタイムに変形させることができる視覚刺激を用いて,視覚と触覚が硬さ知覚に与える影響を検討した.2)視覚刺激によって様々な質感を想起させる刺激を手で変形させたときの視覚刺激の変化が,硬さ知覚にどのような影響を与えるかを検討した.実験の結果から,視覚運動情報が硬さ知覚を大きく変化させること,そして視覚情報は触覚情報に比べて刺激をより柔らかく見積もらせることが示唆された.