主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
ウェクスラー成人知能検査は世界で最もよく使われる知能検査の一つで最新版であるWAIS-IVの日本版は2018年に出版された。近年のWAISの因子構造の研究では検査が理論との整合性を高めることを目的に改定されていることを背景に,知能研究におけるCattell-Horn-Carroll理論(CHC理論)が想定する5因子モデルがよく検討されているが,日本版においての検討はなされていない。そこで本研究は標準化データを対象に5因子モデルの検討を行った。補助検査を含めた全15検査について,日本版の『理論・解釈マニュアル』記載の下位検査間の相関行列を合成して,5つの年齢区分(16-69,16-19,20-34,35-54,55-69)にしたものを入力データにして確認的因子分析を行った。海外での先行研究で検討されたものを中心に4因子,5因子でそれぞれ5つのモデルを比較した。その結果,4因子モデルと5因子モデルのいずれも全体の適合度は良いこと,2つを比較すると5因子モデルの方が適合度は良いこと,いずれの年齢においても双因子モデルの場合では不適解が多いことが明らかになった。