抄録
本論文では,自律移動ロボットが聴覚センサ(マイクロホン)を用いることにより,視覚センサでは認識が難しいオクルージョン環境下での人物認識を行う方法を検討する.これまでの自律移動ロボットの環境認識では,単眼カメラ,ステレオカメラ,全方位カメラなどの画像センサを用いたものや,近年ではレーザーレンジファインダなどの距離センサを用いたものが主である.これらのセンサでは可視光や赤外光を用いるため,それらを遮る物体が間にあると情報が伝達されず認識が困難になるという問題があった.本論文では,この問題に対処するために,聴覚情報を利用して従来の視覚センサでは認識できないオクルージョン領域に対しても人物の認識を行う方法を提案する.視覚的遮蔽物や壁に遮られていても,音であれば反射や回折などによって情報を取得することができる.提案法を評価するために,いくつかのオクルージョン環境下においてロボットの動作実験を行った.その結果,視覚センサでは認識できない人物の接近を感知し,衝突回避を行うことができた.