近年、撮像素子から得られる4つの色成分(R,G0,G1,B)を、3色に変換せずに直接保存するRAW画像が、新しい表現形式として普及しつつある。この画像を可逆圧縮するため、はじめに色成分間に整数型の色変換を適用し、次に成分内の画素間に整数型の変換を適用する方法が知られている。本報告では、従来の4点の整数型色変換を、4点の可逆カルーネン・レーベ変換(KLT)に置き換えることで、データ量を更に圧縮できることを示す。この際、特異点を回避するために、信号置換と符号置換を導入する。これにより、成分内の画素間の整数型変換を全部あるいは一部省略して、演算量とメモリ量を大幅に削減しても、ある程度の圧縮が可能であることを示す。また、2つの色成分(G0とG1)の相関が、入力画像に依らずほぼ一定であることに着目し、これらの成分に可逆ハール変換を適用する。その後、3点の可逆KLTを適用しても、4点の可逆KLTと同程度の圧縮率が得られることを示す。これにより、色成分間の固有値計算が簡略化され,また、入力から出力までの遅延時間が削減される。