本文では,対象物検出機能を含むSVDDに基づく識別器の高精度化手法を提案する.提案手法では,対象物を含む学習画像からSVDDにより算出される超球の中心からの距離に基づいて,対象物を含む領域を自動で選択し,新たな学習画像を生成する.これにより,対象物の位置や向き,大きさ,形状などが多様な学習画像を用いた場合であっても,対象物を含む領域のみを新たに正例として識別器の学習に利用することが可能となる.また,選択された領域を内包する様々なサイズの局所ブロックも同時に新たな正例として利用することで,対象物を含む正例のバリエーションを増やすことが可能となる.以上により,近年の学習に基づく手法や局所特徴に基づく手法において困難であった,対象物を含む領域の自動選択,および得られる領域に基づく新たな学習画像の生成が可能となり,識別精度の向上が実現される.本文の最後では,提案手法の有効性を確認するため,実画像を用いた比較実験により性能の評価を行う.