抄録
回旋性視運動眼振などの刺激に対するゲインの小さい眼球運動を計測するためには,高い分解能と精度が必要となる.従来の眼球回旋計測手法においては,瞳孔径変化によって変形した虹彩パターンを修正することで瞳孔径変化の影響を打ち消しているが,常に誤差0.5°以下での計測を行うことは困難であった.そこで我々は,瞳孔径変化に対して影響されない部位である虹彩外縁部に存在している結膜血管に着目し,従来の虹彩紋理パターンを用いた眼球回旋計測手法と結膜血管抽出手法を組み合わせることで,瞳孔径変化が変化している状態においても平均誤差0.3°以内で計測を行うことのできる方法を提案する.