抄録
ホログラムとは,3次元物体を干渉縞として記録したものであり,3次元像を完全に再現することができる.一般的なホログラムは平面状のものであるため観察範囲が狭く十分な運動視差を得ることができない.また,被写体のサイズが記録材料の大きさまで制限される.この解決方法として,ホログラフィックステレオグラムを円筒状にしたマルチプレックスホログラム(MH)がある.MHは水平方向360度どこからでも再生像を観察することができる.また,カメラから取得した視差画像を基に作製されるため,ホログラムに記録することが難しい被写体でも記録することができるという利点がある.しかし,円筒の大きさが作製時の光学系に依存してしまうため,作製の自由度が低いという欠点がある.そこで,本研究では作製手順の一部を計算機上で行う計算機合成マルチプレックスホログラムを作製する.これにより,円筒の大きさを容易に変更できるようにし,作製の自由度を向上させることに成功した.さらに,再生像の最適化の検証を行った.