抄録
ボケ図形に対する人の視覚による感じ方には二通りの見方がある.ひとつは図形全体を見たときのボケ量の感じ方,他のひとつはボケ領域のみを注視したときのボケ量の感じ方である.すなわち、前者においては、物理的に同じボケ方をしていても図形サイズが大きいとあまりぼけているとは感じない。本稿ではこれらのボケ量の感じ方に相当するボケ図形のボケ量の定量化法について述べ,パターン認識への利用の仕方を示す.前者に対しては「単位面積当たりの変動エントロピー(Aタイプ変動エントロピー)」と呼び,後者に対しては「単位輪郭線長変動エントロピー(Lタイプ変動エントロピー)」と呼んだ.両者はボケのない図形に対しては最小値ゼロをとるが,前者と後者の主要な違いは,前者は解像度に依存しないが図形面積には影響を受ける,後者は図形面積に依存しないが解像度には影響を受ける,という相反する性質を持つ.その意味で,前者は「相対的ボケ評価法」といい,後者を「絶対的ボケ評価法」とも呼んだ.本稿では,この二つの定量化法の使い方について述べ,パターン認識への応用の仕方について調べた.