映像情報メディア学会技術報告
Online ISSN : 2424-1970
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セッションID: HI2013-51/3DIT2013-1
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MT野ニューロンの応答特性を考慮した動画像に対する顕著性マップモデル(視聴覚技術,ヒューマンインタフェースおよび一般)
津田 広大小濱 剛
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抄録
視覚的注意のボトムアップ特性を再現するモデルとして,IttiとKochにより提案された顕著性マップ理論が知られている(Itti&Koch, 2000).これは初期視覚系の生理学的知見に基づき,色や方位といった基本的な視覚属性のの顕著度,すなわち目立ちやすさの分布を算出するモデルである.近年では,動画像処理の分野などでも応用がなされているが,運動成分検出に関与する生理学的な知見が十分に考慮されていない.そこで本研究では,動画像中の運動成分に対する顕著性マップの算出を目的として,従来モデルにおける運動成分検出部を,運動知覚に関与するMT野の受容野が持つ中心周辺拮抗型応答特性を考慮した計算モデルへと置き換えて拡張を行った.シミュレーション実験の結果,従来モデルでは運動成分におけるポップアウト領域が抽出できないのに対して,提案モデルでは,入力パターン中の運動コントラストの高い領域の周辺における応答の増強により,ポップアウト領域が検出可能であることが示された.また,入力として自然の風景を撮影した映像を与えた結果,従来モデルでは運動コントラストが含まれている領域に対して,十分な反応が得られなかったのに対して,提案モデルでは,ある程度の応答が生じることが示された.
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© 2013 一般社団法人 映像情報メディア学会
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