抄録
本研究では,人間の「足を運ぶ」という日常動作に着目し,階段や通路に視覚誘導性自己運動感覚(ベクション)を刺激する映像をプロジェクションマッピングすることで,歩いたり階段を上ったりするような「足を運ぶ」動作を楽に感じさせることが可能であるかどうかを検証する.ベクションを利用した映像を階段にプロジェクションマッピングし,その階段を被験者に上ってもらう実験を行った.その結果,階段の段ごとに合わせて規則的な動きをし,できるだけ階段を上る人と同じスピードで動くベクション映像が,精神的にも身体的にも負荷を軽くすることがわかった.また,急に色を変えることは危機感を与えることになるため,精神的負荷を軽くするためには優しい色を使用することが有効ということがわかった.