抄録
微弱な光により発生する光電子をアバランシェ増倍して出力する,電荷増倍型のCMOSイメージセンサを開発した.本イメージセンサは,低欠陥のシリコン基板内部に光電変換部と電荷蓄積部を分離して配置し,その間にp-n接合からなるアバランシェ増倍部を設けることで,光電子のみを10^5倍に増倍して読出し回路へ出力する構造を実現している.これにより,照度0.01luxの薄暗い環境下で自然なカラー撮像を実現した.また,印加電圧を制御して増倍率を調整することで,明るい環境でも暗い環境でも撮像を可能にし,ダイナミックレンジ100dBを達成した.本センサは,アバランシェフォトダイオード(APD)とトランジスタとを同一基板内に積層しており,APD搭載で世界最小3.8μm画素サイズのメガピクセルCMOSイメージセンサを実現している.