抄録
本稿では,腹部X線CT画像から脊椎領域を抽出する手法を提案する.まず,2値化処理とモルフォロジ演算によって骨領域を抽出し,骨領域から脊柱位置を推定することで,脊柱と肋骨を得る.画像中の椎間板の位置,傾きを推定し,椎間板位置で脊柱をセグメンテーションし,得られた脊椎と肋骨の相対位置や接続性を評価することで,脊椎を抽出する.本稿では,腹部CTに共通して観測されることが多い第12胸椎の抽出に焦点をあて,従来法では困難であった撮像範囲がそれぞれ異なる症例からの抽出を図る.提案手法を撮像範囲が異なる15症例へ適用し,本手法の有効性を確認した.