映像情報メディア学会技術報告
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41.06 放送技術
セッションID: BCT2017-37
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[記念講演] 次世代地上放送の暫定仕様における移動受信特性と誤り訂正符号ブロックの伝送方法に関する検討
*宮坂 宏明
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抄録

NHKでは,放送サービスの高品質化および高機能化に向け,次世代地上放送の放送方式の暫定的な仕様(以下、暫定仕様)の策定を進めている. 暫定仕様は,現行方式 ISDB-T (Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial) の特徴である階層伝送可能なセグメント構造やOFDMフレームの基本的な構造を継承しており,固定受信用の信号と移動受信用の信号を1つのチャンネルで同時に伝送可能なシステムである.また,階層ごとに設定できる変調多値数や符号化率などの伝送パラメータを増やし,多くの候補の中から伝送容量や受信耐性を選択できるようにしている.特にISDB-Tでは選択出来なかったSP (Scattered Pilot)配置についても複数の候補を備え,固定受信や移動受信などの受信環境に適したSP配置が設定できる. さらに暫定仕様では,ISDB-Tよりも周波数利用効率が高く,伝送耐性に優れた方式となるように,伝送帯域幅を拡張し,セグメント数を増やした新しい信号構造と,誤り訂正能力が高いLDPC符号を導入している.しかしLDPC符号は符号長が長いため,OFDMフレームの先頭から整数個のLDPC符号のブロック(以下,LDPC符号ブロック)を納めると余剰のビットが生じ,伝送効率が損なわれることがある.そのため,暫定仕様ではLDPC符号ブロックを OFDMフレームに効率的に配置する手法を考案している. 本稿ではまず,暫定仕様の信号構造において,比率・配置の異なる5種類のSP配置の移動受信特性を評価し,伝送容量を確保しながら移動受信に適した SP配置を考察した結果について報告する.次に,OFDMフレームに LDPC符号ブロックを効率的に配置するために考案したLDPC符号ブロックの先頭位置情報(FECポインタ)を伝送する手法と,そのFECポインタの受信特性について報告する.

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© 2017 一般社団法人 映像情報メディア学会
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