抄録
従来の立体内視鏡は構造が複雑なため,立体化に要するコストが高いことが問題となっている.本研究は,硬性内視鏡に2D硬性内視鏡を利用し,カメラユニットをステレオ化することでローコストな立体化を実現した.2D硬性内視鏡の光学系は内視鏡の入射瞳の光線が射出瞳で再現されている.そのため,内視鏡の射出瞳の位置に2台のカメラを設置すれば内視鏡の立体化を実現することができる.ただし,射出瞳はアイピースに近接しているため,ここに2台のカメラを設置することは困難である.そこで,提案法ではアフォーカル光学系を用いて内視鏡の射出瞳を移動させ,ビームスプリッタで同一の射出瞳を2つ作り出すことで,2台のカメラを設置できるようにする.さらに,2台のカメラを左右にシフトすることで硬性内視鏡の立体化を実現する.提案法に基づき,システムを試作した.試作システムの評価実験として撮影画像の分解能,立体感の主観評価,タスクを用いた実行時間の評価実験を行った.3つの評価実験の結果を報告する.