抄録
ホログラフィックステレオグラムでは,視域を連続化する際にランダム位相を用いるため,再生像の表面にスペックルが生じてしまい,画質が劣化するという問題がある.また,ホログラフィックステレオグラムの各視点で観察される再生像は立体像ではなく2次元画像であるため,多眼式立体表示などの光線再生型の立体表示と同様に,再生像にボケが生じるという問題がある.本研究では,これら2つの問題点に対する解決策を提案する.1つ目に関しては,ホログラフィックステレオグラムの各視点間に新たに仮想視点を導入し,さらに視点に表示する視差画像を適切に位相変調することで,スペックルの規則化・高空間周波数化を行う.2つ目に関しては,各視点のホログラム計算の際に,各視点に表示する視差画像に加えてデプス画像を用いて回折計算を行うことで,各視点で表示される再生像を2次元画像から立体像にして,ボケの低減を行う.