抄録
放送,舞台,コンサートなどの業務用のワイヤレスマイクは特定ラジオマイクと呼ばれ, 770~ 806 MHzの周波数帯が利用されていたが,無線通信システムの急激な発達に伴って,地上波テレビジョン放送のホワイトスペースや 1.2GHz帯の周波数への移行が求められた.これが契機となり低遅延,高品質,かつ安定に伝送できる低遅延デジタル伝送方式のラジオマイクが開発され標準化された.伝送方式には,情報レートやマルチパスへの耐性が考慮され, OFDM変調が用いられた.本稿ではラジオマイクの開発の歴史を振り返るとともに低遅延デジタルラジオマイクの開発と標準化について述べる.