抄録
地域診療情報のシステム化は2000年以降様々な取組が試みられた。しかし、その内容及びコミュニケーションからの検討はほとんど試みられなかった。そこで今まで筆者が構築した3例の医療情報連携システムを対象に要約手法およびコミュニケーションの視点で、評価を行った。その結果、情報の受信者の行動変容につながりやすい情報を構築し、それを簡便な方法で利用できる事が重要であると考えられた。行動変容につながりやすい情報としては、受信者である医師が対象患者に行うべき医療行為につながる情報として、報告書およびサマリーが対象となる。また、利用メディアとしては紙のような安価且つ利用に制限が少ないメディアが、受信者にとって利用の条件をあまり受けない媒体として有用であると考えられる。IT技術および専門家により効率的に収集・要約され、診療に直接結びつく情報を紙に出力して利用する事が地域医療連携において有用と考えられる。