デジタル機器の保健医療分野での利用が拡大し、日常の健康管理にデジタルヘルス機器が活用される一方、デジタルヘルス技術の評価基準の標準化では遅れがみられる。我が国においても、デジタルヘルス技術の評価ガイドラインは未整備であり、今後の評価基準構築が課題となっている。本稿では、7か国1機関によるデジタルヘルス技術の評価ガイドラインを比較検討し、その目的と評価対象、我が国のデジタルヘルス技術評価基準構築に資すると考えられる16の主要評価項目について調査した。結果として、ガイドラインの目的は6種類に大別でき、イノベーションの創出から、医療機器の品質管理目的など、多岐にわたる目的が挙げられていた。評価対象においても、医療用デジタル機器のみを対象としたガイドラインから、モバイルアプリやソフトウエアまでを対象としたもの、デジタルヘルス技術全般を対象としたものなど、各国間で大きな違いがあることが確認された。本研究で検討した16の主要評価項目については、独自に詳細な定義を記載しているガイドラインと、単語のみを記載しているガイドラインとで隔たりがあり、評価項目の採用度合もばらつきがあった。また、レビュー対象の8つのガイドラインの中で、アクセスやプライバシー、情報保護などが重視されていた。今後のデジタルヘルス機器の評価基準においては、市場の拡大に伴う機器や情報の相互運用性の役割が拡大する可能性も考えられる。
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