抄録
高齢化が深刻で畦畔率の高い中山間地域においては,畦畔管理の省力化は喫緊課題であり,とくに大型の畦畔法面における草刈り作業の省力化と安全性の確保は不可欠です.解決策のひとつとして,低草高で管理し易いシバ(Zoysia japonica)を主体とする芝生畦畔への植生転換を検討しました.瀬戸内沿岸地域の通常の雑草畦畔では年4~5回程度の草刈りが必要ですが,芝生畦畔では5月,7月,9月の年3回の草刈りで維持管理が可能となりました.また,労力軽減効果の最も高い7月の草刈りを抑草剤,ビスピリバックナトリウム塩液剤の1回処理に代替することを検討したところ,抑草剤の処理時にチガヤ(Imperata cylindrica)の発生量が少ない場合には,7月の草刈りを抑草剤に代替することが可能であることが示唆されました.