草と緑
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最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 伏見 昭秀
    2024 年 16 巻 p. 1-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/30
    ジャーナル オープンアクセス
    高齢化が深刻で畦畔率の高い中山間地域においては,畦畔管理の省力化は喫緊課題であり,とくに大型の畦畔法面における草刈り作業の省力化と安全性の確保は不可欠です.解決策のひとつとして,低草高で管理し易いシバ(Zoysia japonica)を主体とする芝生畦畔への植生転換を検討しました.瀬戸内沿岸地域の通常の雑草畦畔では年4~5回程度の草刈りが必要ですが,芝生畦畔では5月,7月,9月の年3回の草刈りで維持管理が可能となりました.また,労力軽減効果の最も高い7月の草刈りを抑草剤,ビスピリバックナトリウム塩液剤の1回処理に代替することを検討したところ,抑草剤の処理時にチガヤ(Imperata cylindrica)の発生量が少ない場合には,7月の草刈りを抑草剤に代替することが可能であることが示唆されました.
  • 山田 晋, 中山 祐一郎
    2024 年 16 巻 p. 13-26
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/30
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,雑草植生が変わる・変えられるということについて,その事例やメカニズムを紹介した.まず,現に農地管理において生物多様性の保全や創出に大きく舵を切ったヨーロッパの事例を紹介し,日本の水田雑草に含まれる絶滅危惧植物の保全策のあり方との比較を行った.続いてそれらを踏まえ,日本において身近な自然の管理に生物多様性への配慮が必要となった場合を例に,鍵となる考え方や事例を紹介した.
  • 伊藤 操子
    2024 年 16 巻 p. 27-37
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/30
    ジャーナル オープンアクセス
    1970年の政府による減反政策開始以来,日本の耕作放棄地面積は増加を続け今日30万~60万haに及び(統計の種類や見方により異なります),中山間農業地域での農業者の高齢化・人手不足等々からさらなる増加が予測されます.具体的対策が五里霧中のなかで明らかなのは,放任による遷移の結果生じるセイタカアワダチソウ等大型多年生雑草中心の荒廃植生への対処が,今後の土地利用がどうあるかにかかわらず必須であることです.このことの重要性の関係者への理解を促すためNPO法人緑地雑草科学研究所では,福井県の条件の異なる4地区の耕作放棄地を対象に実態調査を実施し,植生と影響要因との関係を解析しました.放任すれば5年で荒廃植生になるのに対して,適切な管理を続ければ20年以降も一年草群落が維持されるという注目すべきエビデンスも含めた調査結果をもとに,植生改善・維持について考察しています.
  • 伊藤 幹二
    2024 年 16 巻 p. 38-48
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/30
    ジャーナル オープンアクセス
    ゴルフ場芝地や牧野・草地などの永年植生地における雑草生態系は,耕地とは異なり淘汰圧,バイオタイプの出現,境界環境,気象・気候変化などによって不確実に進行する.これら植生地に見られる雑草の繁栄は,「何をしたからこうなった」と「何をしなかったからこうなった」ことから起きたことであり,これまでの延長線上には,「増える」・「広がる」・「変わる」雑草生態系の進行を止める手立てはないだろう.ともすれば定型的な除草作業に陥りがちな雑草管理を科学技術として発展させる必要がある.本稿では,化学的雑草防除を基本に行われてきたゴルフ場芝地の雑草管理の変遷を取り上げることによって,これから先,日本の芝地機能(turfgrass system)を脅かす雑草にどのように対処していくかを探ってみる.
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