抄録
ゴルフ場芝地や牧野・草地などの永年植生地における雑草生態系は,耕地とは異なり淘汰圧,バイオタイプの出現,境界環境,気象・気候変化などによって不確実に進行する.これら植生地に見られる雑草の繁栄は,「何をしたからこうなった」と「何をしなかったからこうなった」ことから起きたことであり,これまでの延長線上には,「増える」・「広がる」・「変わる」雑草生態系の進行を止める手立てはないだろう.ともすれば定型的な除草作業に陥りがちな雑草管理を科学技術として発展させる必要がある.本稿では,化学的雑草防除を基本に行われてきたゴルフ場芝地の雑草管理の変遷を取り上げることによって,これから先,日本の芝地機能(turfgrass system)を脅かす雑草にどのように対処していくかを探ってみる.