草と緑
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グリホサート抵抗性雑草の特性と日本における出現状況
冨永 達
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 17 巻 p. 1-12

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抄録
除草剤の使用は,農耕地,非農耕地に関わらず合理的・持続的な雑草管理に極めて有効で不可欠な手段です.他方,除草剤に対して抵抗性をもつ雑草の出現が世界中で報告されています.この除草剤抵抗性雑草の出現は,除草剤が処理された個体があらたに抵抗性を獲得したことに因るものではなく,当該除草剤に対して遺伝的にもともと抵抗性を有していた個体が除草剤散布後も生残,繁殖し,その除草剤が連用されることによって抵抗性個体の頻度が高くなり顕在化した結果です.グリホサートは1974年に商品化されました.また,1996年にアメリカでグリホサート耐性遺伝子組換えダイズの栽培が始まりました.1996年にはオーストラリアでグリホサート抵抗性ボウムギが初めて報告され,日本でも2013年にネズミムギで報告されました.現在31か国の62草種で抵抗性の出現が報告されています.雑草の除草剤抵抗性は,その機構によって作用点抵抗性と非作用点抵抗性に大別されます.グリホサートの作用点抵抗性は,その標的酵素のEPSPSにおけるアミノ酸置換や遺伝子増幅によって生じます.非作用点抵抗性は,グリホサートの移行抑制・阻害などによるもので,ABCトランスポーターが関与する例も報告されています.雑草の除草剤抵抗性の進化を避けるためには,特定の除草剤に過度に依存せず,作用機作が異なる除草剤の使い分けを図り,除草剤と他の除草方法をうまく組み合わせることが必要です.
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© 2025 特定非営利活動法人緑地雑草科学研究所

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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