岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
原著
Myocardin関連転写因子A(MRTF-A)は, ヒト水晶体上皮細胞においてTGF-β2の誘導によりI型コラーゲン産生を調節する
奥野 孟 今泉 利康坂本 うみ酒井 大典福田 一央三部 篤真柳 平祖父江 憲治黒坂 大次郎
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2018 年 70 巻 3 号 p. 81-90

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抄録

トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)で刺激した水晶体上皮細胞において, Myocardin関連転写因子A(MRTF-A)がI型コラーゲンの発現に影響を及ぼすかどうかを明らかにするために,ヒトの水晶体上皮細胞B3 (HLE-B3)に,MRTF-Aに対する低分子干渉RNA(siRNA)をトランスフェクトし,TGF-β2の有無で培養した.さらにα平滑筋アクチン(α-SMA)およびI型コラーゲン発現をMRTF-A阻害剤であるCCG203971で検討した.遺伝子発現はreal-time PCRによって,MRTF-Aの細胞内局在を免疫細胞染色によって検討した.TGF-β2を添加することによってMRTF-Aの細胞質からの核内移行を促進した.HLE-B3細胞におけるTGF-β2の添加は、対照のsiRNAにおいてα-SMAおよびI型コラーゲン発現を増加させたが,MRTF-A siRNAでは増加しなかった.さらに,CCG203971はTGF-β2依存性にα-SMAおよびI型コラーゲン誘導を阻害した.今回,HLE-B3細胞においてTGF-β2がMRTF-Aの核内移行を刺激し,α-SMAおよびI型コラーゲン発現を促進することを示した.この検討でMRTF-A阻害剤であるCCG203971が,前嚢下白内障および後嚢下混濁による視力低下を予防し得ることを示唆した.

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© 2018 岩手医学会
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