岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
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Review
  • 医学・医療教育と地域との関係性を考える
    伊藤 智範
    2021 年 73 巻 3 号 p. 99-107
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    地域医療とは,一つの定義として「地域に生活し,住民が抱える様々な健康上の不安な悩みをしっかりと受け止め,適切に対応するとともに,広く住民の生活にも気を配り,安心して楽しく暮らすことができるよう,見守り,支える活動」とされている.それを踏まえて,地域医療“学”をシンプルに定義すれば,「医療従事者に必要な社会科」で,「地域医療をするために必要な人文・社会科学」である.近い将来には,医療の風景が様変わりして,地域包括ケアの総合的充実が求められるようになる.地域は医療が介入するべき対象である.他方,地域を基盤とした医学教育のさまざまなエビデンスが報告されるようになり,その活用が世界の主流になっている.地域は,大学病院だけでは獲得できない,地域包括ケアへも対応可能な幅広い診療能力を涵養しうるフィールドで,医学・医療教育の貴重な財産でもある.本稿では,この地域医療と地域基盤型教育について概説する.
Original
  • 木村  拓, 高原 武志, 鈴木 悠地, 岩谷  岳, 新田 浩幸, 佐々木 章
    2021 年 73 巻 3 号 p. 109-116
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    肝移植の代替療法として幹細胞移植が注目されている.その有力な候補細胞の一つにside population(SP)細胞がある.SP細胞はDNA結合色素Hoechst 33342排泄能を持つ細胞で,様々な臓器に存在する.先行研究では,全臓器の中で脾臓がSP細胞の最大の貯蔵庫であることを見出した.効果的な治療のためには移植のタイミングが重要であり,一時的な細胞の保存が必要となる.本研究では,脾臓SP細胞に注目し,凍結による長期保存が可能かどうかを調査することで移植細胞としての有用性を検証した.まず,ラット脾細胞を凍結し期間ごとのSP細胞の存在率を測定した.続いて,SP細胞と非SP(main population,MP)細胞を単独で凍結し期間ごとの生存率を比較した.SP細胞は全保存期間で存在し,凍結後1ヵ月で存在率が上昇していた.また,SP細胞はMP細胞と比較し一貫して凍結保存後の生存率が高かった.SP細胞は細胞移植候補として考えた際,凍結ストレスに強いという有利な特性を持つことが示された.
  • 宮  一雄, 西村 行秀, 坪井 宏幸, 佐々  航, 山部 大輔, 遠藤 寛興, 村上 秀樹, 土井田 稔
    2021 年 73 巻 3 号 p. 117-126
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    成人脊柱変形(ASD)患者に対する脊椎固定術は脊椎アライメントが矯正される一方で,脊椎固定術後は脊柱起立筋が萎縮することが報告されている.しかし,その筋線維組成の変化は不明である.本研究の目的は脊椎固定術後のASD患者と同年齢の健常者の脊柱起立筋の違いを評価することである.ASD術後女性13名(ASD群)と同年代の健常女性7名(コントロール群)に等尺性体幹伸展最大随意収縮力測定とTrunk holding testを実施した.Trunk holding test中の筋活動を表面筋電図で計測し,記録した干渉波形に対して周波数パワースペクトル解析を行い,周波数中央値の傾きを算出した.ASD群のMVCはコントロール群より有意に低かった.周波数中央値の傾きは両者間に有意差がなかった.本研究の結果はASD術後患者の脊柱起立筋は筋力が低下しても各筋線維タイプの相対的な面積は変化しないことを示唆する.
Case Report
  • 高橋  学, 阿部 志津香, 伊藤 歩惟, 塩畑  健, 和田 泰格, 石川  健, 小山 耕太郎, 小林 めぐみ
    2021 年 73 巻 3 号 p. 127-131
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    異食は,認知症患者や精神遅滞の児にみられることが多く,目撃情報が無い場合には診断は難しい. 11歳の女児.精神遅滞があり, 児童養護施設に入所している.便中に紐等がみられ, 施設職員は患者の異物摂取に注意をしていた. 嘔吐と間欠的腹痛を訴え近医を受診し, 腹部単純X線写真で胃内異物を疑われ紹介となった.腹部CT検査では含気のある塊状物を胃内に認めた.上部消化管内視鏡検査で,重合一塊となったポリ塩化ビニル手袋が観察され辺縁は鋭利であった.内視鏡的摘出は困難と判断し,開腹・腹腔鏡補助下に異物除去術を行った. 精神遅滞の児では異食の頻度が高く,問診等から異食が疑われる場合には,腹部CT検査による異物の局在確認と,上部消化管内視鏡検査による性状確認が有用である.しかし,異食された異物のなかには,消化管内で変性・硬化するものもあり,その摘出には注意を要する.特に,ポリ塩化ビニル手袋では開腹除去を選択すべきである.
  • 登坂 憲吾, 中島 祥文, 森野 禎浩
    2021 年 73 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    2度の大動脈弁の手術歴のある20歳代男性が易疲労感を認めた.心不全症状の進行を認め,経胸壁心臓超音波検査で人工弁の高度人工弁周囲逆流(PVL)によるものと判断された.2度にわたる手術歴があり,閉鎖栓による経カテーテル的閉鎖術を施行する方針とした.PVLの解剖学的評価は経食道心臓超音波検査と心臓コンピューター断層撮影検査で施行し,閉鎖に適した形状と大きさを確認した.人工弁と大動脈弁壁の間に7×3 mmの楕円形の欠損孔を認めた.残存リークを抑えるために両側の大腿動脈アプローチで,放射線透視と経食道心臓超音波下で8 mmのAmplatzer vascular plug II(Abbott社,シカゴ,アメリカ)を2個並べて同時に移植した.移植後には逆流が減少し,周術期合併症は認めなかった.術後1年に症状の改善と心臓超音波検査でPVLの改善を認めた.繰り返す開胸歴のある患者のPVLに経カテーテル的閉鎖術が有用であった症例を経験したので報告する.
学位報告
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