岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
最新号
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Review
  • 丹野 高三
    2024 年 76 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2024/05/11
    ジャーナル オープンアクセス
    東日本大震災津波後に岩手県で開始された前向きコホート研究であるRIAS研究と東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査の結果から,災害の循環器疾患危険因子と心理社会的因子への影響を報告する.避難所への移転や仮設住宅居住者では震災後5年間の血圧値は減少したものの,体重,メタボリックシンドロームや糖尿病の罹患は増加しており,循環器疾患のハイリスク者であることが示唆された.震災6カ月後の心理的苦痛の割合は日本人一般集団より高かった.震災2年後の調査で心理的苦痛の割合は減少したが,心理的苦痛は就業状態や経済的暮らし向きと関連していた.震災3~5年後の社会的孤立は抑うつや死亡のリスク上昇と関連し,震災6~9年後の調査では社会的孤立の割合が増加した.被災早期からの心理社会的支援の必要性が示唆された.今後も追跡調査を継続し,東日本大震災津波災害に伴う長期健康影響を明らかにしていきたい.
Original
  • 大塚 観喜, 八重樫 瑞典, 開 勇人, 阿保 亜紀子, 岩谷 岳, 西塚 哲, 佐々木 章
    2024 年 76 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2024/05/11
    ジャーナル オープンアクセス
    Circulating tumor DNA (ctDNA)は腫瘍から血中に放出される腫瘍特異的DNAであり新たなバイオマーカとして注目されているが、癌種や転移臓器による検出率の違いも報告されている.検出が困難である大腸癌の肺転移及び腹膜播種を含めた各転移臓器を有する症例をdigital PCR (dPCR)を用いてctDNAの検出が可能かを検証した.原発腫瘍組織をnext generation sequenceで解析し同定された変異から症例特異的変異を選択しdPCRを用いて血中よりctDNAを検出した.対象は肝転移3例,肺転移4例,リンパ節転移1例,腹膜播種2例である.肝転移と比較し非肝転移の変異アレル頻度は低い症例が多かった (肝転移vs非肝転移, 13.1 [0.35 - 22.3] vs. 0.1 [0 - 5.2], p = 0.11)が,転移巣に限らず全例でctDNAが検出できた.dPCRを用いた高感度検出法は転移臓器によらず大腸癌の微小転移を検出可能であり,遠隔転移を有する大腸癌に対して当検出システムを使用すればctDNAを臨床応用できる可能性がある.
Case Report
  • 坂口 俊, 谷藤 幸子, 水間 加奈子, 浅見 麻耶, 伊藤 潤, 赤坂 真奈美
    2024 年 76 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2024/05/11
    ジャーナル オープンアクセス
    プランルカスト,レベチラセタム(LEV)は小児から成人まで幅広く使用される薬剤で,合併症として薬剤性肺障害の症例報告は少ない.この2剤のどちらかあるいは両方が原因と考えられた薬剤性間質性肺炎疑いの幼児を報告する.症例は3歳の女児.生後2週に細菌性髄膜炎および敗血症性ショックとなり重症心身障害児となった.構造的てんかんを発症しLEVを含めた複数の抗てんかん薬を内服していた.2歳に喘息と診断されプランルカストを内服していた.低酸素血症と両側肺野のびまん性浸潤影から誤嚥性肺炎を疑い加療したが改善せず,KL-6高値から薬剤性間質性肺炎を疑った.プランルカストとLEVの薬剤リンパ球刺激試験が陽性で,両薬剤の中止により低酸素血症が改善した.重症心身障害児は誤嚥性肺炎を合併しやすいが,治療に反応しない場合は薬剤性肺障害を検討し,臨床経過や検査結果から判断して早期に被疑薬を中止することが重要である.
  • 那須 崇人, 登坂 憲吾, 沼﨑 大諄
    2024 年 76 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2024/05/11
    ジャーナル オープンアクセス
    48歳の女性が疲労感と動悸で当院を受診.毎年健康診断を受けており,過去の病歴はなかった.心エコー検査で左室駆出率の低下がみられた.さらに,心電図では右軸偏位,不完全右脚ブロック,および多形性の心室期外収縮が見られた.即座に心臓カテーテル検査,心内膜下心筋生検,心臓磁気共鳴画像(CMR),および18F-フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(PET)を行った.心内膜下心筋生検の標本は非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫とアステロイド小体,リンパ球浸潤が確認された.CMRにて両心室壁にガドリニウム遅延造影が示された.PETでも心室壁で異常な取り込みが見られた.この結果から,患者は心臓サルコイドーシスと診断された.ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1 g/日)を3日間行い,その後はプレドニゾロン30 mg/日で治療を続けた.1カ月後の心エコー検査で左室駆出率が回復し,心電図も正軸に戻り,QRS幅もnarrowとなった.本症例から心筋サルコイドーシスに対して,ステロイドパルス療法が有効である可能性が示唆された.
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