岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
特別講演
肥満・糖尿病に対する外科治療の効果と今後の展望
佐々木 章
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 70 巻 6 号 p. 189-196

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抄録

肥満外科手術は, 長期的な体重減少の維持と肥満関連健康障害の改善が内科治療に比べて優れていることが高いエビデンスレベルで証明され,最近では代謝疾患が術後早期に改善することから,メタボリックサージェリー(代謝改善手術)として注目されている.この背景から,米国糖尿病学会のガイドライン2017年板では,2型糖尿病に対する治療において,BMI≧37.5 kg/m2のアジア人では血糖コントロールに関わらず,BMI≧32.5 kg/m2では血糖コントロールが不良な患者に対してメタボリックサージェリーが推奨された.わが国のメタボリックサージェリーの多施設共同研究では,術後3年の糖尿病寛解率は78%と海外よりも良好な成績であるが, 長期成績の検討が課題である.メタボリックサージェリーの糖尿病に対する効果発現の機序については明確となってはいないが,消化管ホルモン,アディポカイン,胆汁酸シグナル,腸内細菌, 臓器連関などの関与が報告されている.

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© 2019 岩手医学会
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