岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
Case Report
尋常性乾癬患者に発症した二次性膜性腎症の1例
谷口 幸裕齋藤 永一郎及川 浩樹 田中 文隆渡邊 収司及川 寛太赤坂 祐一郎松浦 佑樹野田 晴也旭  浩一
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2021 年 72 巻 Supplement 号 p. 317-324

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抄録

症例は60代の男性.10年前に尋常性乾癬と診断され,紫外線療法とステロイド外用での治療が開始された.2年前に下肢の浮腫が出現するもループ利尿薬にて軽快した.2ヵ月前に下肢の浮腫が再発したため, 精査目的で当院に紹介となった.入院時検査所見でネフローゼ症候群と診断された. 抗核抗体, リウマトイド因子は陰性で,補体の低下を認めないことから, 膠原病は否定的であった.B型およびC型肝炎ウイルス感染も認めなかった.腎生検で二次性膜性腎症と診断された.二次性膜性腎症の病因として自己免疫疾患, ウイルス性肝炎, 悪性腫瘍が知られているため,更に消化管内視鏡検査と胸部~骨盤部にかけての単純CT検査が行われたが,腫瘍性病変を認めなかった.稀ではあるが,尋常性乾癬との関連が示唆される膜性腎症例が報告されていることから,本例は尋常性乾癬を病因とする二次性膜性腎症と考えられた.

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© 2021 岩手医学会
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