岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
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質量分析による赤芽球特異的5-アミノレブリン酸合成酵素複合体タンパク質の解析
鈴木  亘Costantine Chasama Kamata古山 和道
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2023 年 75 巻 2 号 p. 69-79

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抄録

赤芽球特異的5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)は赤芽球におけるヘム生合成系の律速酵素で,ヘモグロビンにヘムを供給する役割を担う.ALAS2遺伝子の発現は転写段階や翻訳段階で制御されることが報告されているが,翻訳後の制御についての情報は限定的である.今回我々はFLAG-tagを付与したALAS2タンパク質(ALAS2F)を線維芽細胞で発現させ,ALAS2Fがどのような分子と複合体を形成するのかを免疫沈降法と質量分析法を用いて明らかにした.そのうちのいくつかのタンパク質についてウエスタンブロット法を用いてALAS2複合体を形成することを確認した.このうち,マトリクスプロテアーゼとして知られるLONP1はALAS2と結合する一方でALAS2の分解には関与しない可能性が高く,翻訳後修飾などの未知の機能を果たしていることが示唆された.今後,ALAS2 タンパク質の機能制御におけるこれらのタンパク質の役割を明らかにすることにより,ALAS2タンパク質の機能制御のメカニズムが解明されることが期待される.

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© 2023 岩手医学会
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