岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
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脳由来神経栄養因子のVal66Met一塩基多型および身体活動が2型糖尿病患者におけるジペプチジルペプチダーゼ- 4阻害薬の効果に及ぼす効果の検討
高橋 義彦長谷川 豊金野 寛史石垣  泰
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2023 年 75 巻 4 号 p. 147-157

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抄録

運動によって糖代謝に有益な脳由来神経栄養因子(BDNF)が増加する.BDNFの一塩基多型(rs6265; G→A, Val66Met)と身体活動(PA)が,ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬(DPP-4I)の効果に及ぼす影響を2 型糖尿病173 人を対象に検討した.DPP4I無効は投薬開始3-4ヵ月後のHbA1c低下が0.2%未満と定義し,活動量は質問票で評価した.メトホルミン内服例を除外した99名においてPAが低いG/*,PAが高いG/*,PAが低いA/A,PAが高いA/Aの各群の無効例の割合は,それぞれ56.8%,28.6%,25.0%,20.0%(n = 99, p = 0.037)で,多変量モデルでも同様であった.G/*遺伝子型患者では活動量依存性BDNF分泌が保持され,それが障害されるA/A型患者に比してDPP-4阻害薬への反応性にPA が重要であると考えられたが,結論づけるにはさらに研究を要する.

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© 2023 岩手医学会
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