進行食道癌治療では初回治療として化学療法が行われ,治療前効果予測はきわめて重要である.本研究では食道癌61例を対象とし
NFE2L2変異の有無が治療効果予測因子となりうるかを検討した.原発巣変異解析では,61症例中
NFE2L2変異は13例 (21.3%)に認め,エクソン2に集中していた.初回化学療法を施行した50例では,奏効は
NFE2L2変異例で8例中2例(25.0 %)で,野生型42例中30例 (71.4%)に比し有意に低かった.また初回docetaxel/cisplatin/5-fluorouracil療法を施行した43例中
NFE2L2変異例5例は他の38例に比較し有意に全生存割合が低かった.食道癌細胞株11株では4株(36.4%)に
NFE2L2変異を認めた.変異株では野生型株に比較し抗癌剤による増殖抑制効果が有意に低かった.食道癌では
NFE2L2変異検索により効率的な治療抵抗性の予測が可能である.
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