岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
Case Report
経カテーテル大動脈弁留置術後,安全に血液透析導入と自己血管使用皮下動静脈瘻作製ができた慢性腎臓病ステージG5の1例
菊池  調赤坂 祐一郎吉川 和寛 松浦 佑樹野田 晴也岡本 好生石川  有田中 文隆阿部 貴弥旭  浩一
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2023 年 75 巻 5 号 p. 187-194

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抄録

82歳女性,うっ血性心不全(CHF)と糖尿病性腎臓病による保存期慢性腎臓病(CKD)ステージG5で近医に通院していた.今回,難治性CHFで当院に入院し,重症の大動脈弁狭窄症が判明した.薬物治療が奏功せず,入院25病日に経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)が実施された.周術期の尿量低下と腎機能増悪から27病日よりカテーテル挿入下に持続的血液濾過透析を導入した.その後血液透析(HD)離脱はできなかったが,HD導入前のTAVIにより循環動態が安定したため透析困難症を認めず,心負荷を懸念することなく安全に自己血管使用皮下動静脈瘻(AVF)を作製できた.TAVIは低侵襲および循環動態の早期安定化から,CKD G5に対する安全なHD導入ならびにAVF作製を行う上で有用であることが示唆された.

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© 2023 岩手医学会
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