医療機器や手術手技の進歩に伴い,肝臓領域でも腹腔鏡下手術が徐々に行われるようになった.しかし,現時点での肝切除術における腹腔鏡下手術率は約30%であり,胃や大腸の消化管手術と比較するとまだ一般的な手術には至っていない.その一方で,大きな腫瘍に対する肝切除やドナー肝切除などにも適応拡大することで腹腔鏡下肝切除術率が90% を超える施設もある.最近ではロボット支援下肝切除術が保険収載されるなど,肝疾患に対する外科治療は新たな展開を迎えている.大出血に対する対応などまだまだ克服すべき課題はあるものの,技術は必ず進歩するものであり,今後のさらなる発展が期待される.