岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
特別講演
  • 板橋 亮
    2024 年 75 巻 6 号 p. 197-202
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル オープンアクセス
    国際疾病分類第11 版では”brain dysfunction related to disease of the blood vessels supplying the brain ” と記載されており,脳卒中は血管疾患である側面と脳機能障害である側面の両者が大事と解釈できる.一方で,「脳梗塞」という言葉は,症状を伴わない無症候性も含んだ意味として用いられる.脳卒中を診断する際に病歴は極めて重要であり,疎かにはできない.診察の際には,麻痺の評価に加えて,高次機能障害である失語や半側空間無視にも注意する.画像診断は万能ではない.頭部CT の急性期脳梗塞検出力は十分とは言えず,MRI も必ず脳梗塞巣を検出してくれるとは限らない.急性期治療は日進月歩であり,t-PA 静注血栓溶解療法や機械的血栓回収療法を速やかに開始する事が肝要である.仮に症状が消失しも,再発予防のために早期に専門施設での加療が必要になる.
  • 新田 浩幸
    2024 年 75 巻 6 号 p. 203-208
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル オープンアクセス
    医療機器や手術手技の進歩に伴い,肝臓領域でも腹腔鏡下手術が徐々に行われるようになった.しかし,現時点での肝切除術における腹腔鏡下手術率は約30%であり,胃や大腸の消化管手術と比較するとまだ一般的な手術には至っていない.その一方で,大きな腫瘍に対する肝切除やドナー肝切除などにも適応拡大することで腹腔鏡下肝切除術率が90% を超える施設もある.最近ではロボット支援下肝切除術が保険収載されるなど,肝疾患に対する外科治療は新たな展開を迎えている.大出血に対する対応などまだまだ克服すべき課題はあるものの,技術は必ず進歩するものであり,今後のさらなる発展が期待される.
  • 小山 理恵
    2024 年 75 巻 6 号 p. 209-217
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル オープンアクセス
    岩手医科大学附属病院に整備されている総合周産期母子医療センター (総合周産期センター) は岩手県内の ハイリスク妊婦と新生児に対し医療を提供する施設である. 総合周産期センターは岩手県に1 カ所のみ設置 されている基幹施設である.我々が抱える周産期課題,(1)母児の救命(2)多職種・地域周産期センターとの連携(3)早産予防(4) 妊娠期から産後の周産期メンタルヘルスケア (5)胎児形態異常を知り小児科医へ情報を提供する胎児画像診断の習得(6) 周産期医療の向上を目指し,県民に還元できるような周産期研究を行う項目を説明していく.
  • 赤坂 真奈美
    2024 年 75 巻 6 号 p. 219-224
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国は急激な少子化が進行しているが,早産・低出生体重児割合はさまざまな要因により増加している. 周産期医療の進歩により新生児の救命率が向上する一方で,高度な医療を必要として退院する医療的ケア児 は全国的に年々増加しており,岩手県も例外ではない.面積が広く地域に点在する重症児に格差なく医療を提 供することは,小児科医の少ない当県においては容易ではない.「いわてチルドレンズヘルスケア連絡会議」は,医療的ケア児者,移行期医療,災害時支援,在宅医療などを重点課題とし,当事者のニーズを調査しながら多職種で連携し活動している.さらに2021 年に設立された岩手県医療的ケア児支援センターはあらゆる相談への対応や地域自治体の人材育成に着手している.我々は産学官連携により,情報通信技術(ICT)を用いた地域格差のない維持可能な医療と体制の構築と,医療的ケア児者とその家族を平時から地域で支える仕組み作りと,災害時の対策強化に取り組んでいる.
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