岩手医科大学歯学雑誌
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原著
含歯性嚢胞ならびに原始性嚢胞に関する病理学的研究
黒田 雅行
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1985 年 10 巻 2 号 p. 55-70

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抄録

含歯性嚢胞ならびに原始性嚢胞について, 系統的検索を試みた研究は極めて少ない。そこで, 自験例85症例 (含歯性嚢胞52例, 原始性嚢胞27例, 多発性嚢胞6例) について, 臨床的および病理組織学的検討を加えた。その結果, 含歯性嚢胞は上顎, ことに前歯部に多く, 原始性嚢胞は下顎, ことに智歯部に多く認められた。また, 再発は, 原始性嚢胞と多発性嚢胞の5例にみられた。病理組織的には, 上皮の角化傾向は含歯性嚢胞では約30%にみられ, 原始性嚢胞および多発性嚢胞では全例に認められた。さらに, 原始性嚢胞では, 含歯性嚢胞に比べ, 娘嚢胞の形成, メラノサイトの出現の傾向が強いことがわかった。超微構造的には, 嚢胞の非角化上皮は角化上皮に比べて, tonofilament, desmosomeの発達が悪く, 細胞間隙が拡大し, 表層細胞も扁平化することなく, 嚢胞面に多くの microvilli 様突起ならびに核上部に微小な vesicle を認めることなどの差異を確認した。

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1985 岩手医科大学歯学会
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