岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
Print ISSN : 0385-1311
ISSN-L : 0385-1311
原著
岩手医科大学歯学部附属病院における過去15年間の全身麻酔下手術症例の臨床統計的観察
水間 謙三中里 滋樹岡村 悟金沢 治樹佐藤 雄治山口 一成藤岡 幸雄木村 貞昭岡田 一敏涌沢 玲児
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 10 巻 3 号 p. 127-135

詳細
抄録

岩手医科大学歯学部附属病院における過去15年間(昭和44年1月から昭和58年12月まで)の全身麻酔施行症例2,278例について, 臨床統計的比較検討を行った。症例数は年々増加傾向にあり, 男性症例が多かった。 昭和48年までは20歳未満の症例が過半数を占め, 手術内容は口唇口蓋形成術およびその修正術が多かったが, それ以降では30歳以上の症例が多くなり, 嚢胞摘出術および上顎洞根治術や悪性腫瘍切除および頸部廓清術が増加している。頻回手術症例は附属病院開設当初は口唇口蓋形成術およびその修正術が多かったが, 最近は悪性腫瘍手術や慢性骨髄炎手術が多い。術前合併症は循環器系の異常が多かったが, 全身状態の悪い症例は少なかった。全身麻酔導入薬は急速導入のサイアミラールの使用が全体の90%を占め, 気道確保法は経口気管内挿管が全挿管の75%と多かった。主維持麻酔薬は調節性に富む揮発性吸入麻酔薬のフローセンやエンフルランに笑気と酸素を併用するGOFやGOEが多かったが, GOFやGOEは年齢に無関係に使用され, Jackson-Rees法は6歳未満症例に多かった。最近は5時間を越える長時間麻酔が多い傾向にあるが, 麻酔中および麻酔後の合併症に重篤な症例はなかった。

著者関連情報
1985 岩手医科大学歯学会
次の記事
feedback
Top