岩手医科大学歯学雑誌
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原著
マウスにおけるベタネコールおよびカルバコールの唾液分泌反応
斉藤 弘子陳 慶勲村井 繁夫伊藤 忠信
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1986 年 11 巻 1 号 p. 26-30

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抄録

副交感神経作用薬であるベタネコールとカルバコールの唾液分泌作用をマウスを用いて比較検討した。マウスの唾液分泌量の測定は, 唾液量を沪紙上の“しみ”の面積として測定する著者らの方法を用いて行った。測定時間は180分間とした。ベタネコールの唾液分泌作用は0.8~3.2mg/kg(s. c.)の範囲では用量依存的で, 1相性の経時的変化のパターンを示した。一方, カルバコールにおいては, 0.4~1.6mg/kg (s.c.)の範囲では用量依存的であったが, 経時的変化は投与後60分を境とする2相性のパターンを示した。ベタネコールの1相性およびカルバコールの2相性唾液分泌作用は, フェントラミン(10mg/kg, s. c.)およびアトロピン(5mg/kg, s. c.)により顕著に抑制を受けた。以上の結果は, べタネコールとカルバコールの唾液分泌反応には明らかな相違があることを示すものである。カルバコールにおける2相性反応発現には, カルバコールの持つ強いニコチン様作用が関与していると思われる。

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1986 岩手医科大学歯学会
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