岩手医科大学歯学雑誌
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原著
歯科用X線発生装置(口内法)を用いた上顎前歯部埋伏歯の位置の診断法
後藤 浩美小村 徳行渡辺 律坂巻 公男
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1986 年 11 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

上顎前歯部における埋伏歯の頬舌的位置関係を診断するため, 歯科用X線発生装置を用いた次の3方法について検討した。

①Occlusal filmを用いる歯軸方向投影法

②Dental filmを用いた正放線投影法と偏心投影法を組み合わせる方法

③幾何学的作図による方法(Hauberrisser法)

実験にはファントームとして乾燥頭蓋骨を用い, 埋伏歯のモデルとしては抜去歯牙を歯槽骨の舌側あるいは頬側に固定し実験を行った。

①法は正しい撮影が行われていれば診断は容易であるが, 頭頂部から主線を投影するため, 通常のOcclusal法よりX線線量を約4倍多くしなければ診断可能な写真にはならず, また正しい歯軸方向の撮影は熟練を要する。②法は埋伏歯と正常歯牙歯根との頬舌的な位置関係を簡単に知る方法としては有用である。しかし, 萌出歯牙歯根に埋伏歯が近接している場合あるいは偏心させる角度が不充分な場合は判断が難かしい。③法は埋伏歯の歯軸傾斜まで推測できたが, 幾何学的作図のために必要な歯牙全体のトレースを正確に行うことが難かしい。

以上より, 埋伏歯の頬舌的位置関係の診断法として, 患者への被曝線量が少ないことや撮影法が簡単なことから②法が第一に選択される撮影法と思われた。

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1986 岩手医科大学歯学会
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