1987 年 12 巻 3 号 p. 317-326
顎機能異常の治療法に, 咀嚼筋の筋緊張の弛緩訓練を目的とした前頭筋EMGバイオフィードバック療法がある。その効果の指標として咬筋部Microvibration(MV)の累積振幅値, 総パワー値ならびにβ1, β2, の帯域別パワー値の4項目について比較検討した。
その結果, 咬みしめ時の咬筋部MVは, 安静時と比較して4項目ともに有意に増加し, 前頭筋EMGバイオフィードバックトレーニングによって咬筋部MVの総パワー値, β1のパワー値が減少した。
また, 前頭筋EMGバイオフィードバックトレーニングの効果は両側咬筋MVのパラメータとした4項目に右側と左側に差がみられなかった。
以上のMVの各種パラメータの分析結果より, 前頭筋EMGバイオフィードバック療法が, 精神的ストレスの関与が考えられる顎機能異常者の症状改善に有用であることが示唆された。